最高裁判所第三小法廷 昭和26(れ)2106 判決
主 文
本件各上告を棄却する。
理 由
被告会社代表者代表清算人兼被告人Dの弁護人角田俊次郎の上告趣意は後に添え
た書面に記載したとおりである。
原判決が、判示第一の(一)において認定した事実の一証拠として、A造船工業
株式会社社長E提出の始末書及びCに対する検察事務官作成の聴取書を採用してい
ること及び被告人らの原審弁護人角田俊次郎が原審第一回公判において、A造船工
業株式会社社員B及びCを証人として申請し原審においてその採否を留保していた
ところ、結局第二回公判において、いずれもこれを却下したことは所論のとおりで
ある。しかし原審において弁護人が右両名の証人を申請したのは、単に犯情の点に
ついて、買主が売つて呉れといつたので、本件カーバイト等を売るに至つた事情を
明らかにするためであつて、前記始末書や聴取書に記載されている真実性の有無を
立証しようとするものでないことは、記録上明らかである。かような趣旨の下にな
された証人申請は、刑訴応急措置法一二条一項の請求に当らないことは、すでに当
裁判所の判例とするところである(昭和二四年(れ)一五六号同七月五日第三小法
廷判決、集三巻八号一一五九頁参照)従つて、前記Bが事実上前記会社社長E提出
の始末書の関係者であるかどうかを判断するまでもなく、所論は理由はなく、違憲
の主張はその前提を欠くから採用することを得ない。
なお記録を精査しても、刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。
よつて刑訴施行法三条の二刑訴四〇八条により主文のとおり判決する。
この判決は裁判官全員一致の意見である。
昭和二六年一二月一八日
最高裁判所第三小法廷
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裁判長裁判官 井 上 登
裁判官 島 保
裁判官 小 林 俊 三
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